学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)



学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)

分類:
発送可能時期:アクセスしてご確認下さい
参考価格:¥ 735 (消費税込)


教育の常識を疑う
私は著者の事をよく知らなかった。いくらかの新書だけは読んでいたが、冷静に統計などを駆使しつつ、あまり綺麗事や理念を熱く語るような事をせず、ゆとり教育や個性尊重を容赦なく批判しているという姿からは、どこか冷徹で保守的という印象(というより限りなく誤った偏見)を受けたが、そのような偏見は本書を読んで一気に消し飛んだ。

まず本書は極めて平易な文章で書かれている。どれ程に平易かというと、中学生向けに書かれているという程度の平易さである。本書は元々「毎日中学生新聞」の編集者に「自分のやっている学問を中学生にも分かるように書けますか」と言われた事をきっかけとして中学生新聞に連載されていた文章に手を加えたものなのである。こういった事情もあって読みやすさに関しては申し分がない。

著者は語りかけるような、これ以上ないほど丁寧な文体で「学校とは何か」「教育とは何か」「教科書とは何か」「校則は何であるのか」「テストは何であるのか」といった非常に根本的なテーマを語り、多くの人々が常識として疑う事もしない大前提を疑い、よく考えてみる事を促す。頻繁に「本を置いて自分で考えてみてください」と言い、読者自身に考える事を促している。本書は教育社会学の入門書とされているがこのような著者の姿勢は哲学的とすら許容できるもので、部分的には教育哲学と言ってもいいと思う。哲学とはいっても小難しいものに結び付けたいわけではなく、ただそれくらいに著者は本書で教育を語ることを通して「自ら考える事」や「常識を疑うこと」に重点を置いているという事を言いたい。哲学的な態度とはそういうものなのである。

何故勉強するのか、何故テストするのか、何故教室では皆前を向くのか、何故校則があるのか…学校の常識・前提を揺るがす問いが次々と出されるが著者はこれらについて自分の考えや答えを積極的に提示するような事は殆どしない。ただ学校ができるまでの歴史的経緯や、過去の教室はどんな風だったか、何故今こんな形の教室になったのか、人々の学校に対する考え方はどう変化してきたかなど、価値観とはまた別の(とは言え全く無関係とも言えない)事実などには多く触れ、それを考える材料として提示してくれる。

著者に自ら疑い考える事を促された読者が校則は必要だと考えるのか、校則はいらないと考えるのか、校則はいるが厳しい校則は不当だと考えるのか、そういった価値判断は全て読者自身に任される。著者が「校則はその内容はともかくとして生徒が学校に対して従順か否かだけを判断できればいい」と言う時そのような校則をろくでもないなと感じるか、だから必要なのだなと考えるかは読者の自由なのである。

著者は後書きにて自分の目的は、学校というものを徹底的に疑って現状を否定したり学校を否定したりする事ではなく、どうすれば学校の新しい可能性や考え方を引き出せるかについて色々な人が常識にとらわれる事なく議論できるようにする事だとしている。つまり著者はそれぞれの人が教育を考えるための材料と機会を本書で与えてくれているのである。この意味で本書は単なる教育を語る一冊の「教育書」なのではなく、この本自身が読者に自ら疑い考える力、一種の主体性を身につけさせる「教育」なのではないか。大人は勿論、読者として想定されている子供、中高生などにも是非読んでほしい。教育を真面目に考えたい全ての人にお薦めできる。

誰でも一読の価値あり
子どもにも理解できる易しい言葉で書かれた本ですが、
内容としては大人が読んでも充分に読みごたえのあるものです。

学校について、誰もが一度は頭をよぎった疑問や、厳しい校則や生徒指導などへの抵抗感、
さらには「そういえば、そんなこと一度も考えたことなかったけど、言われてみれば不思議だよなぁ」
と思い当たるようなことを、類別して順序だてながら、一人ひとりがその先を考えていくための
ちょうどいい材料になるようなところまで、下準備をしてくれている本です。

ちょっと変な例えですが、泥のついたゴボウが目の前にあったとして、
それを著者がアク抜きまでしておいてくれたようなカンジかな。

「この先これをどんなふうに切って料理するかはあなた次第ですよ。
 私は『植物』を『食材』にまではしておきましたからね」

と著者が言っているようです。

「学校や教育について,常識にとらわれない考え方をしてみよう」(あとがき236頁)

第1章 どうして勉強するの?
第2章 試験の秘密
第3章 校則はなぜあるの?
第4章 教科書って何だろう
第5章 隠れたカリキュラム
第6章 先生の世界
第7章 生徒の世界
第8章 学校と社会のつながり


かりやたけひこは1955年(東京都)生まれ。東大大学院(教育学修士)。ノースウェスタン大学大学院(Ph.D)。本書刊行時点では東大教育学部勤務(教授)。『階層化日本と教育危機』(第1回大仏(おさらぎ)次郎論壇賞奨励賞)など。本書は,97年9月から98年3月までの7ヶ月間に『毎日中学生新聞』に連載したものを単行本化し(講談社,98年),その7年後に文庫化したもの。文体は中学生を意識しているが,主題は万民向け。横田一(同『新聞』編集長)に“お前は中学生を研究対象にしているが,自分の研究内容を中学生に伝達できるか?”という言葉に強烈に刺激されて連載執筆に同意したらしい。研究者魂を著者が持っていることを感じさせる逸話ではある。


本書目次は面白い。勉強の必然性を解く章が問題提起の章として劈頭に来るのは判るが(教育対象の明確化),普通なら最初に扱うべき教育主体である生徒(第7章)やその介護者である教員(第6章)が真っ先に来ず,試験やら校則やら教科書など,教育手段が先に来ている。しかし,これは著者の執筆姿勢を深く反映している。つまり,「学校って何だろうという疑問からスタートして,学校や教育について,常識にとらわれない考え方をしてみよう」(あとがき236頁)という立場である。客体世界の変革主体を説く以前に,客体世界自体をまずは解明しようというスタンスである。この目次は著者がそういうことを読者に訴えようとしていると解釈できる。しかし,これは著者なりのオブラートだ。苅谷の読者であれば直観できると思うが,苅谷はここで言っている「常識」が“幻想”(苅谷『教育改革の幻想』)であることをうすうす臭わせている。常識人の常識からすれば,誰もが疑い得ないものを誰が疑うだろうか? 疑う根拠があるからこそ,「常識にとらわれない」見方(=常識からの脱却)を推奨しているのだ。常識が偏見であることを訴えているのだ。管見の限り,著者はハードデータ(教育統計)を扱える数少ない論客で,社会科学的には正統派だ。私が教育(学)関係の著作をここ十年で漁り始めて以来,彼の著作に接するたび,教育社会学者はこれまで何をしていたのかと落胆してしまう。彼に並ぶ教育学上の社会科学的正統派は彼の著作刊行以前にはいなかったのだろうか?


さて本書本旨だが,目次に見られる疑問文が問題提起となっており,著者の解決は暫定。書評子に新発見はなかった。「学校の先生というのは,全部が全部,よりすぐりの特別な人ではないと考えたほうがよいでしょう。・・・単純に数[日本人人口で言えば130人にひとり,労働力人口で言えば75人にひとり?BCKT]のうえから考えてみても,先生に何ができるのか,その限度がわかるでしょう」(167頁)といった当事者には挑発的な文言を冷静に感受できるかどうかが,よき社会人としての教員であるかどうかのリトマス試験紙となろう。

(1294字)


学校って何だろうね
苅谷 剛彦が、研究対象である中学生に向かって書いた教育社会学の入門書。

・どうして勉強するの?
・試験の秘密
・校則はなぜあるの?
・教科書って何だろう?
・隠れたカリキュラム

等の問題について、誰にでもわかる言葉で書かれた本。この本では、それぞれの問いに対して「答え」が提示されているわけではない。むしろ、それぞれの問いに対して子供たちが自主的に考えるように、と訴えかけている。

著者は、「当たり前」、「常識」だと思われていることを、あえて疑ってみることにより、その裏にある「秘密」を探ろうとしている。

誰が読んでも楽しめるような本。

学校の秘密
 「なぜ勉強するのか」や「校則はなぜあるのか」など学校にかかわる疑問は多いと思う。しかし、そういった疑問は「当たり前」という答えによって片付けられてきた。本書はそういった「当たり前」に対する疑問を出発点として学校や教育のことを考えるヒントを与えてくれる本だ。
 本書で与えられるのはあくまでも「ヒント」であって「答え」ではないという点が本書の最大の特色である。筆者は非常に分かりやすい言葉で丁寧に学校の「当たり前」を解きほぐし、学校の秘密を明らかにしていく。本書を読むことで読者は学校をこれまでと異なった視点で見ることができるだろう。しかし、そこから先は読者にゆだねられている。今の学校という制度が意味するものを知った上で学校とどのようにかかわっていくかは読者次第なのである。
 本書がこのような特色を持っているのは本書が毎日中学生新聞の筆者の連載をまとめたものであるからだろう。安易なHow toに陥ることなく、学校という社会をいろいろな観点から見る方法を中学生に持ってもらおうという筆者の思いや意気込みが伝わってくる。中学生にも分かりやすいやさしい語り口でありながら学問の持つ深さを失っていないため、大人にとっても読み応えがあると思う。学問の凄みを見せてくれる本だ。中学生はもちろん、大学生や社会人にも非常にお勧めだ。




誰も教えてくれない「マッサージ」ビジネスの始め方・儲け方

腎臓病の人の食事 (健康21シリーズ)

絵本の中のかわいい雑貨 手ぬいで作るおはなしの世界

渋澤流 30年長期投資のすすめ 今の「マネー」が次世代の「資産」に化ける (角川SSC新書)

初めてでもよくわかる!!経済指標50

学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)

堀内健康白書

新版 不安・恐怖症―パニック障害の克服 (健康ライブラリー)

すっきりわかった!セキュリティ 実践対策編―この週末でネットワークマスターになる (すっきりわかったBOOKS)

認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント―快一徹!脳活性化リハビリテーションで進行を防ごう

最新ブログ 最新ブログ2 更新












SEO対策 ショッピングカート レンタルサーバー /テキスト広告 アクセス解析 無料ホームページ 掲示板 ブログ